ワンレングス(ワンレン)は、ただ切っただけでは上手く切ることができない。意外と難しいスタイルだ。その証拠に、真っ直ぐ切ったつもりでも、耳後ろに穴が開いてしまったり、表面に段差がついてしまって、失敗することが多い。あなたもワンレングスが上手く切れずに悩んでいないだろうか?
だが安心してほしい。ワンレングスの定義、髪の性質、骨格の影響など、上手く切るために必要な事を知れば、あなたも上手くワンレングスを切ることができるようになる。
そのポイントを3つご紹介する。左右の長さが合わなくて悩んでいる場合は➤ワンレングスカットコツ!左右の長さを合わせる4つの手順も見て欲しい。
まず、ワンレングスの定義をおさえよう!(ワンレングスとは?)
あなたは明確にワンレングスの定義を説明することができるだろうか?おそらく、ちゃんとカットを学んでいなければ、なんとなくしか説明できないはずだ。定義の理解がスタイルの理解につながるので、この機会にワンレングスの定義を確認してほしい。
ワンレングスとは、画像1のように「インサイド(内側の髪の毛)とアウトサイド(外側の髪の毛)のカットの切り口に段差のない状態」をワンレングスという。これが定義になる。
(画像1)
定義通りにカットしただけでは、きれいに仕上がらないワンレングス!
(画像2)
画像2は、ウエットカットで段差がつかないようにカットをし、ドライヤーで乾かしたものだ。段差がつかないようにカットしたはずが、段差がついてしまい、ワンレングスではなくなっている。また、耳後ろのカットラインに穴が開いてしまっている。
あなたも一度は、このような経験があるのではないだろうか?
*ウエットカット・・・濡らしてカットすること。
ワンレングスを上手く切るための3つのポイントとは?
ワンレングスを上手く切るポイントは下記の3つだ。
1.インサイドグラデーションを入れる
2.耳後ろは78.75度前下がりで切る
3.毛流れに合わせてカットする
1.インサイドグラデーションを入れる
(画像3)
通常、画像3のようにワンレングスをウエットカットした場合、乾かすと表面の髪の毛が短くなり段差がついてしまう。髪の毛が収縮するからだ。髪の毛は、水分を含むと膨張して長さが伸びる。しかし、乾かすと水分がなくなり縮んでしまう。
段差が入らないようにワンレングスでカットした場合、内側の髪の毛に比べ、表面の髪の毛の方が長さが長い。
(画像4)
画像4でみると内側の髪の毛に比べて、表面は内側の髪の毛の約3倍長さがあるので、単純計算すると表面の方が3倍縮む。そのため、段差がついてしまう。では、どうすればいいのだろうか?
(画像5)
画像5のように表面の髪の毛が縮み上がることを考慮して、表面の髪の毛が徐々に長くなるように内側に段差をつければ良い。この内側に幅の狭い段差のついた状態をインサイドグラデーション(イングラ)という。
インサイドグラデーションの入れ方は複数ある。ワンレングスをきれいに切るためにもっとも切りやすいインサイドグラデーションの入れ方は、「パネルの角度を0度より内側に押して切る」ことだ。
そうすることで自然に戻したときに、表面の髪の毛が徐々に長くなりインサイドグラデーションになる。首や背中に当たるところまで、しっかり内側に押して切ることがポイントだ。画像6を参考。
(画像6)
2.耳後ろは78.75度下げて切る
(画像7)
床に対して平行なラインのワンレングスを切ると、画像7のように、耳後ろのカットラインが前上がりになってしまい、穴が開いているように見え場合がある。これは、ポイント1で紹介したように、髪の毛の収縮する性質によるものだ。
(画像8)
耳後ろのバックサイドのエリアの内側の髪の毛の長さを見ると、サイド寄りの髪の毛は長く、バックセンター寄りの髪の毛は短い。髪の収縮は、長い髪の毛の方が縮み上がるので、床平行にカットしても、乾かしてみるとサイド寄りの髪の毛の方が縮む。その結果、前上がりのラインになり、全体を見るとそこの部分に穴が開いて用に見える。
そのため、バックサイドのエリアは、縮み上がることを考慮して前下がりに切ると良い。角度でいうと、約78.75度前下がりに切ると乾かした時に床平行になる。切り方としては、そのまま前下がりに切っても良いのだが、それだと左右の長さが合わせずらい。
(画像9)
(画像10)
切りやすい切り方としては、画像9、画像10のよう、バックサイドの髪の毛を、バックセンターの面の位置まで引いてカットするということをする。そうすることで、耳後ろの髪の毛を後ろに引いて切っている状態になるので、自然に戻した時に前下がりになる。これで乾かすと、耳後ろも穴を開けずにきれいに切ることが出来る。
(画像11)
ちなみに、画像11のように、真後ろの面まで引いてカットすると、引き過ぎになり、乾かしても前下がりのままになってしまう。そのため、バックセンターの面まで引いて切るということが大切なポイントになるので、真後ろの面まで引き過ぎないように注意してほしい。
3.毛流れに合わせてカットする
最後のポイントは、毛の流れに合わせてカットするということだ。
例えば、センターパートでカットしたとする。仕上げの際にお客様が「分け目を左で分けて欲しい」と言われたとしよう。センターパートでワンレングスが完成されれるようにカットしたので、サイドパート分け直すと、ライトサイドはワンレングスのままだが、ヘビーサイドは表面の髪の毛が短くなってしまう。画像12を参照。
(画像12)
必ず分け目を確認して分け目に合わせてワンレングスが完成されるようにカットすることがポイントとなる。
*センターパート・・・真ん中・正中線上の分け目
*サイドパート・・・横の分け目
*ヘビーサイド・・・分け目から幅の広い方のサイド
*ライトサイド・・・分け目から幅の狭い方のサイド
(画像13)
分け目は基本的に、画像13のようにGP(ゴールデンポイント)とTMP(テンプルポイント)を繋ぐ表面の部分にある。また、ここのエリアは、毛の流れの影響を受けやすいエリアとなっている。分け目に合わせてカットするだけでなく、毛の流れにしっかり合わせてカットすることも重要だ。
*GP・・・毛流れに合わせてとかすと分かれる、頭の頭頂部より2,3㎝後ろにある髪の毛流れの分岐点。後ろの一番表面の髪の毛でもある。GPよりフロントの髪の毛はサイドの方へ落ちる。GPより後ろの髪の毛は後ろに落ちる
*TMP・・・目尻の上がったところとフェイスラインがクロスするポイント
(画像14)
例えば、画像14のようにTP(トップポイント)とEP(イヤーポイント)を結ぶラインでサイドとバックで分けてカットしたとする。しかし、基本的にはGPよりフロントの髪の毛はサイドの方へ落ちてくる毛流れになっている。
そのため、TPとGPの間の髪の毛はバックでカットしてしまうと、仕上げの際にサイドの表面の髪の毛として落ちてくるので、サイドの表面の一部が短くなり、ワンレングスではなくなってしまう。
*TP・・・頭の頭頂部。EPから床に対して垂直に上がったポイント
*EP・・・耳後ろの付け根のポイント
(画像15)
毛流れに合わせてカットするために、GPとTMPを結ぶエリアの髪の毛は、全体を乾かして、分け目と毛流れに合わせてカットする。画像15参照。
まとめ
今回のように理論的に学ぶことで、なぜ?そうなるのか?がわかり、あなたは自信を持ってカットすることが出来るようになる。今回、ご紹介した3つのポイントは、今後、入客してスタイルを作っていく上で、必ずしっておく必要があるポイントでもある。
あなたがお客様の要望に沿ったスタイルを作るためにも、是非、今回のポイントを覚えておいて欲しい。また、今回のポイントをカバーした切り方の動画も紹介しているので➤ワンレングス切り方!ワンレングスをキレイに切る8つのポイントも参考にして欲しい。
ありがとうございます
サイドの方がまっすぐ切れないことと
バックのようにまとまらないです
教えてください
よろしくお願いします